黒い司法 0%からの奇跡

緊急事態宣言を受けて、映画館はどこも休館である。休館になる前に観に行った映画で感銘を受けた映画「黒い司法 0%からの奇跡」を紹介する。

公式ページによる紹介記事は次のとおり。

冤罪の死刑囚たちのために奮闘する弁護士ブライアン・スティーブンソンの実話を、「クリード チャンプを継ぐ男」「ブラックパンサー」のマイケル・B・ジョーダン主演で映画化したヒューマンドラマ。黒人への差別が根強い1980年代の米アラバマ州。犯してもいない罪で死刑宣告された黒人の被告人ウォルターを助けるため、新人弁護士のブライアンが立ち上がるが、仕組まれた証言や白人の陪審員たち、証人や弁護士たちへの脅迫など、数々の困難に直面する。監督は「ショート・ターム」「ガラスの城の約束」のデスティン・ダニエル・クレットン。主人公の弁護士ブライアンをジョーダンが演じるほか、ブライアンが救おうとする被告人ウォルター役をオスカー俳優のジェイミー・フォックス、ブライアンとともに法律事務所で働くエバ役を、クレットン監督とは3度目のタッグとなるブリー・ラーソンが担当した。

 司法取引により偽りの証言をして被告人ウォルターを死刑に追い込んだ白人が、再審請求において虚偽であったことを自認したにもかかわらず、裁判官が死刑判決を維持した場面では愕然とさせられる。(日本の再審事件でも同様のことはあった記憶だが(弘前事件だったか)。

 黒人の弁護士を虫けら扱いする白人保安官、ウォルターの同房であった死刑囚(彼はベトナム戦争従軍後、PTSDとなり放火により死刑判決を受けた)の死刑執行の場面など、目を覆いたくなるシーンもある。これが、1980年代のアメリカで現実に起きたことなのだ。

 アメリカの前大統領オバマがこの映画を絶賛したとのことだが、冤罪、黒人差別、死刑の問題を考えさせる骨太の映画である。エンドロールでは、実写フィルムが一部流され、この事件に続き、隣房の死刑囚も冤罪で釈放される部分が映し出されるなど、ドラマと事実の橋渡しに成功している。そして、何よりも主人公のマイケル・B・ジョーダンがカッコイイ。一人でも多くの人に見てほしい映画である。