モリマサコ

 モリマサコといえば、森昌子。「せんせい」でデビューして、「越冬つばめ」などの名曲を歌った歌手である。デビュー後は、山口百恵桜田淳子と「中3トリオ」と言われ、人気を博した。歌唱力でいえば、当時、同世代のトップを走っていたと言ってよかろう。森進一と結婚していったん引退し、離婚後、復帰したが残念ながら、若いころの声量は戻らず、昨年再引退?した。

 そして、昨今話題となるモリマサコ。こちらは森雅子法務大臣である。母子家庭で苦労して東北大学に進み、弁護士になった後、政界に進出した。その彼女が、公選法違反で疑いの目を向けられ更迭された河井前法相の後釜となったのである。

 最初の失策は、カルロス・ゴーンの国外逃亡の際に、「無実を証明するために日本で裁判を受けろ」と言ったことである。刑事被告人は自ら無罪を立証する必要はない。有罪を立証するのは検察官の仕事である。刑事裁判の基本のキを間違えるのは、法曹資格を持つ法相として恥ずかしい。

 そして、次が安倍首相の用心棒とされる黒川東京高検検事長の定年延長問題である。森法相は黒川氏を定年延長させる手続の説明が二転三転させ、ついに合理的な説明ができなかった。現在の検察庁法では検事総長の定年だけが65歳で、他の検察官はすべて63歳である。黒川氏は63歳の定年を迎える直前に国公法に基づき定年を延ばしたが、それは現在の稲田検事総長が今夏に退任する後を襲う狙いがあるとみられている。現在の検察は、政治家がらみの事件の立件には消極的と評されるが、それは黒川氏の安倍迎合の忖度ゆえとも言われる。森氏は、もともと消費者事件に取りくむ弁護士で正義感の強い女性であった(はずである)。そんな彼女の個人的な思いからすれば、「なんで、こんな理屈に合わない定年延長をするの?なんで私がそのために屁理屈を考えなきゃいけないの」と言うことではないかと推測する。今、政府はコロナ対策で右往左往している時期に、不要不急の検察庁法改正をして、理屈に合わない黒川氏定年延長問題を、法改正により糊塗しようとしている。

 安倍政権では、財務官僚や文部官僚が安倍の尻拭いのために良心に反するような隠蔽、捏造、破棄行為を余儀なくされてきたが、モリマサコ法相!あなたは法曹資格を持つ政治家として、地位に恋々とするのではなく、憲法の精神と良心にしたがった行動をすべきではないか。その方がカッコいいよ!